数学教育学セミナー / Waseda Seminars of Research on Mathematics Education
セミナーの概要 / Introduction
世話人: 宮川 健(早稲田大学教育・総合科学学術院)
数学教育学研究の普及と促進のため数学教育学セミナー(通称,早稲田セミナー)を開催しています.
本セミナーでは,発表時間とディスカッションの時間を多く取り,参加者のコミュニケーションを大事にしています.それにより,参加者が研究内容への理解を深めるとともに,研究を実際に発展させることができればと考えています.また,研究コミュニティの形成や大学院生などの研究者育成にも貢献できればと思います. 数学教育学の研究に関心のある学内外の皆様,お気軽に参加いただければと思います.
2024年度も,昨年度と同様に occasionnally に実施したいと考えています.開催方式はオンラインもしくはハイブリッドを考えています.セミナーに参加ご希望の方は以下のリンクからお申し込みください.オンラインの場合は,セミナーの前日に Zoom へのリンクをお送りします.
〔2024年度 参加申し込み / Registration form〕
なお,今年度は開催回数が少ないですので,2023年度以降にお申し込みいただいた方にも,年度中のすべてのセミナーについて案内をお送り致します.案内が不要な場合はお知らせください.また,2024年度のセミナーは,一昨年度,昨年度に引き続き,JSPS科研費「世界探究パラダイムに基づいた新しい教師教育の展開」(JP21H00924; 研究代表者:宮川健)のサポートを受けています.
以下はセミナーの記録及び予定です.赤枠で囲まれたものが次回です.「Seminar in English」とあるものについては,講演は英語で特に通訳はありません. 質疑は日本語でも結構です.英語のブラッシュアップの機会にしてください.もし「私も講演したい!」という方がいらっしゃいましたら,宮川 (tmiyakawa[at]waseda.jp) までお知らせください.
2024/9/18 : Seminar in English
2024年第1回目のセミナーです.フランス・リヨン高等師範学校名誉教授 Luc Trouche 先生に教師教育に関してお話いただきます.Trouche 先生は,「教授文書活動研究法(Documentational approach to didactics [DAD])」と呼ばれる理論的枠組みを提唱されており,DADの研究は現在,国際的にそして数学教育に限らず進められています.なお,今回のセミナーはJSPS科研費 基盤研究(B) 24K00410(代表:小松孝太郎)のサポートを受けて実施されます.
本講演会は,早稲田大学で対面とオンラインのハイフレックスで開催します.多くの方のご参加をお待ちしております.
ご参加をご希望の方は,こちらのフォームよりお申し込みをお願いいたします.
Date | Wednesday 18 September, from 15:30 to 17:30 |
Place | Waseda Campus, Building14, room 101 |
Speaker | Luc Trouche, Ecole normale supérieure de Lyon, France |
Title | Theorizing teacher’s interactions with resources as a total social fact: the Documentational Approach to Didactics (DAD) 全体的社会事実としての教師とリソースの相互作用の理論化:教授文書活動研究法(DAD) |
Abstract | At the beginning of this century, the development of the Internet revolutionized the way we communicate, and therefore the way we teach and learn. New phenomena have appeared, leading to the emergence of new concepts and new theoretical approaches. In the field of didactics of mathematics, in France, the documentational approach to didactics (Gueudet & Trouche, 2009) developed from the conceptualization of teachers' resources as a total social fact (Mauss, 1959). In this frame, the concept of resource encompasses and goes beyond the concept of didactical situation and the concept of task (Gueudet et al., 2013; Komatsu & Jones, 2019) widely used in the field of mathematics education. This approach analyzes teachers' work on the basis of the resources they use, design and share, and the resource systems they develop. I'll outline this approach and its development over the past 15 years, beyond the French community of didactics of mathematics (for a description in Japanese, see Trouche et al., 2020). I'll also show its current development needs (Trouche, 2019), in particular to better link: resource systems and teacher activity systems (Engeström, 2019); resource structure and knowledge structure (Chevallard, 2019); teacher resources, languages and cultures (Trouche et al., 2023; Wang et al., 2023). Finally, I'll question the relevance of this approach at a time when teaching and learning environments are changing so rapidly (Drijvers et al. 2024). 今世紀に入り,インターネットの発達は,私たちのコミュニケーションのあり方,ひいては教育や学習のあり方に革命をもたらした.新しい現象が現れ,それにより新たな概念や理論的アプローチが生まれた.数学教授学の領域において,フランスでは,教授文書活動研究法(Gueudet & Trouche, 2009)が教師のリソースを全体的社会事実(Mauss, 1959)として概念化することにより発展した.この枠組みにおいて,リソースの概念は数学教育の領域で幅広く用いられている教授状況の概念やタスクの概念(Gueudet et al., 2013; Komatsu & Jones, 2019)を包含するとともにそれらを超えるものである. このアプローチは,教師が使用・デザイン・共有するリソースや教師が開発するリソースシステムにもとづいて教師の営みを分析する. この講演では,このアプローチと過去15年以上のその発展について,数学教授学のフランスのコミュニティを超えて概説する(日本語での説明は,Trouche et al., 2020を参照).また,現在のさらなる発展の必要性,特に次の諸概念のより良い繋がりについても示す.リソースシステムと教師の活動システム(Engeström, 2019),リソース構造と知識の構造(Chevallard, 2019),教師のリソース・言語・文化(Trouche et al., 2023; Wang et al., 2023). 最後に,指導・学習が急速に変化している現在での,このアプローチの妥当性について問う(Drijvers et al. 2024). |
Reference |
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2024/9/14 : 講演会・シンポジウム情報(日仏同時通訳あり)
日仏教育学会が,2024年9月14日(土)に(公財)日仏会館と共催で講演会とシンポジウムを開催します.これは,早稲田大学で開催される日仏教育学会2024年度研究大会の一環で開催されるイベントです.フランスからリュック・トルーシュ (Luc Trouche) 氏(リヨン高等師範学校名誉教授)を招聘し,日仏の数学教育について学術交流を推進します.このイベントは早稲田セミナーとは異なりますが,ここでもご案内させていただきます
別途参加申込が必要です(参加申し込みはこちらのフォームから).
日時 | 2024年9月14日(土)13:30 - 17:30 |
場所 | (公財)日仏会館ホール(〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿3-9-25) |
テーマ | 日仏における教育の立役者とそのネットワーク〜数学の事例を通して〜 Acteurs et réseaux de l’enseignement en France et au Japon: à travers le cas des mathématiques |
趣旨 | フランスの数学教育はその指導内容を始め日本と随分異なります.日本は計算の習熟や問題解決を重視しがちですが,フランスでは理論的な側面がしばしば重視され,日本では大学に入らないと扱われないような概念が中等教育でも出てきます.本講演会では,トルーシュ氏に,こうしたフランスの数学教育の歴史的背景を,教育に関わってきた立場の異なる教育関係者たちとそこで形成されてきたネットワークに焦点を当ててお話いただきます.この基調講演と日本の専門家による日仏の事例報告を交えて,教育におけるネットワークの意義と課題についてグローバルな観点から議論します |
プログラム | 基調講演(13:30 - 15:00)
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リンク |